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2007/11/01 (Thu) *四季恋歌* 04

頬に触れる冷たい感触は、なんだかとても懐かしく感じた。
僕が寝ていると夏秋はいつも起こしにやってきて、ひんやりとした手で頬をくすぐっていたから。
「春、もう朝だよ」
そう。
いつもそうやって、優しい声音で僕を目覚めさせてくれる。
「くすぐったいよ。夏秋」
僕はそれが嬉しくて、わざと寝た振りをしていた。
夏秋はきっと分かっていたと思う。
「寝坊だぞ。今日は散歩できるんだろ?」
「うん。もう大丈夫」
僕も夏秋も心臓が不良品だから無理は出来ない。ひとつ年上の夏秋がいつもそう言っていた。
「ね、また書いた?」
「んー?ああ」
「出来たら読んでもいいんだよね?」
「ああ」
夏秋は詩を書いている。
僕にはよく分からないけど、思った事とか感じたことを文字で表現するらしい。
前に日記とは違うの?と聞いたら、お子ちゃまには分からないんだとデコピンされてしまった。
夏秋だって僕とひとつしか違わないんだからお子ちゃまなのに。
「出来たら一番最初に読ませてやるよ」
「約束!」
僕は右手の小指を差し出す。
約束のおまじない。
「約束」
夏秋の小指が絡まり、おまじないは交わされた。
今になって思えば、この時の夏秋の曖昧な笑顔は、果たされることのない約束を分かっていたんだと思う。
僕の手元にある夏秋の詩集。
まだ半分しか埋まっていないページ。
何度も何度も読み返したけど、それは一年前の冬で終わっていた。
春が来るまえに、夏秋は星になったからだ。

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2013/01/18 09:30 | [ 編集 ]


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2012/11/29 07:38 | [ 編集 ]


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